2015(平成27)年12月24日 (国立国会図書館)国際子ども図書館
〒110-0007 東京都台東区上野公園12-49 電話03-3827-2053 http://www.kodomo.go.jp/
国際子ども図書館は、国内外の児童書とその関連資料を閲覧できる児童書専門図書館です。図書館の建物は、明治1906(明治39)年に帝国図書館として建てられたもので、明治政府は文部省の建築家をアメリカへ派遣し、新しい技術を調べてルネサンス様式のこの洋館を作ったそうです。その後、国立国会図書館の支部図書館となりました。100年前のシャンデリアや、手で作られた「手ふきガラス」と呼ばれる、外が歪んで見える明治時代の窓ガラスも使われています。
残念ながら、ちょうど訪れた時は新館の工事中のため、3Fの本のミュージアムには入れませんでしたが、まずは1Fの工夫が凝らされた「子どものへや」でゆっくり絵本や物語を手に取って読んでみました。「子どものへや」の入り口を入ると写真のように円形に書棚が並びます。
真ん中や壁面に机と椅子があり、自由に本を手に取って読んだりノートをとったりすることができます。円形の書棚は内側にも外側にも本が並ぶので、縦列・横列の配置より、たくさんの本を見ることができます。洋書のコーナーには、もちろんEric CarlのThe Very Hungry CaterpillarやDick BrunaのMiffiシリーズも並んでいます。
児童書研究資料室では、ちょうど「国際アンデルセン賞を受賞した日本の作家と画家」の展示が行われていました。国際アンデルセン賞は、小さなノーベル賞とも呼ばれる国際的な児童文学賞です。児童文学に貢献した存命の作家や画家の業績に対して隔年で贈られるものだそうです。この賞を受けた日本人作家4名の作品について、海外でも翻訳されたものやその関連資料が展示されていました。赤羽末吉(1910-1990、1980年画家賞)は、東京生まれ。絵本作家として活躍。『かさじぞう』『ももたろう』をはじめ私の大好きな『スーホの白い馬』などが代表作です。『スーホ―の白い馬』はアメリカ、イギリス、韓国、台湾、フィンランド、フランス、メキシコの本も展示されていました。2人目の安野光雅(1926-、1984年画家賞)は島根県生まれです。『ふしぎな絵』で絵本作家としてデビューし、文学、数学、科学への造詣も深くエッセイストとしても活躍しています。故郷の津和野には安野光雅美術館があります。『さかさま』『ABCの本』をはじめ『ニューイングランド-安野光雅のスケッチブック』(1994年、日本航空文化事業センター)では、アメリカ、ニューイングランドの情景を描き、ボストンの町や、ニューイングランドの南海岸沖にあるMartha's Vineyardの情景も描いています。Vineyardは私の勤務する昭和女子大学のボストン校から1時間半ほどのところにあるので、是非、私もその町を訪ね、描かれた風景を自分の目でみてみたいと思います。3人目の まど・みちお(1909-2014, 1994年作家賞)山口県生まれ。『どうぶつたち』『ぞうさん』『不思議なポケット』等の童謡や詩を作り、『まめつぶうた』『風景詩情』『うめぼしリモコン』等の著作もあります。4人目の上橋菜穂子(1962-、2014年作家賞)は、東京生まれ。オーストラリアの先住民、アボリジニの研究者です。『精霊の木』でデビューし、『精霊の守り人』は、アメリカ、イタリア、フランス、台湾、中国、スペインで翻訳が読まれています。
皆さんも是非、国際子ども図書館をお訪ねください。子どもだけでなく、大人も楽しめる場所です。2016年3月からは児童書専門図書館としての機能を持つ新しいアーチ棟も完成し、子どもも大人も共に楽しむことができるレンガ棟と機能が分化しました!